思い出話 30 【 津島高校の卒業生 】
あれからもう一年が経ちました。
◇ 新しいバンド「 “など” 」を結成し
◇ オリジナル曲で「コンテストに優勝」し
◇ リードボーカルは「初代頼姫」から「二代目河姫」に変わり
◇ 「カントリー&フォークプロモーションやね裏」を結成し
◇ 「ファーストコンサート」は大成功だった 1972年
そして 1973年(昭和48年)春、 “など” は新しいメンバーを探しています。
○そして この思い出話を書いている今は、平成31年4月30日。
○昭和生まれの “など” は平成の年に「第1回同窓会」を行い
○令和元年に 「再結成同窓会ライブ」をやろうとしている。
本当にできるのかな? もう老人バンドなのよ!!
でも 出来ることを期待して、話を40数年前に戻しましょう
孝之進:「あれっ 仁之助?」
3月の平日の暖かい日、テララテ楽器のレコード売り場だった。
仁之助:「あっ! 孝之進さん!」
孝之進:「久しぶり! こんな昼間から・・ 学校サボりかい?」
仁之助:「やだなぁ こないだ卒業式終わったとこですよ。」
孝之進:「もう高校卒業! 俺といた時はまだ一年生だったのに」
仁之助:「あれから 何年経ったと思ってんですか?」
そう言って笑いながら話す仁之助は、
孝之進と滋之丞が高校の3年だった時の1年生で、学校祭の同じブロックだった事と、
仁之助のお姉ちゃんと孝之進が、中学2年生の時の同級生だったこともあって
孝之進:「お姉ちゃん元気?」
仁之助:「元気ですよ。今日会ったこと話しておきますね」
仁之助:「孝之進さん ここよく来るんですか?」
孝之進:「そう。バンドやってる関係でね、殆ど毎日・・」
仁之助:「やっぱりバンドやってるんですね・・」
年下なのですがフレンドリーな関係が続いていました。
孝之進:「そう言えば、仁之助楽器やってるんだったっけ?」
仁之助:「ギターは上手いですよ。 へへへ・・」
孝之進の第六感がピピット動いた
●ひっとして???
孝之進:「今日暇? ちょっと俺に付き合わん?」
仁之助:「いいですよ。暇だし。何処へ行くんですか?」
孝之進:「俺んち・・」
そう言って、孝之進の車で走ること15分。孝之進の家に着くとさっそく。
孝之進:「よかったらギター弾いてみて・・・」
仁之助と遊ぶこと1時間、孝之進は思った。 ギターは駄目だな・・・。
孝之進:「仁之助 ベース弾いたことある?」
仁之助:「弾いたこと無いけど、弾けると思う」
何処から来るんだ、この根拠の無い自信は? と孝之進は思った。
ほんとに誰かとよく似ていること!
孝之進:「仁之助! この曲のベースを今度の日曜日までに覚えてきて!」
そう言って孝之進が渡した音源は・・
当時まだ無名のバンド。チューリップの「夢中さ君に」と言う曲でした。
そして 4日後の日曜日、仁之助と遊ぶ孝之進の顔が・・・
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思い出話 31 【 3rd.Stage “など” 発進! 】
えっ! なんだこれ? いけるじゃん!
日曜日の午後 孝之進の部屋。ベースを弾いているのは仁之助!
「夢中さ君に」を吉田ばりに弾きこなすじゃん。
※吉田とはチューリップのベース担当者の吉田さんです。
ベース担当の滋之丞を本来のドラムに戻し、ベース仁之助でいける。
そう孝之進は思いました。そしてここに第2期 “など” が再結成されたのです。
○リードボーカル・キーボード:河姫/ギター・ボーカル:正衛門
○ギター・ボーカル:孝之進/ベース・ボーカル:仁之助/ドラムス:滋之丞
○1973年5月3日 天王川野外ライブでデビューとなった。
初めての野外ライブも大成功!!
早速 駆けつけてくれた鈴之助も
鈴之助:「いけるじゃん。仁之助君もうまいねぇ」
孝之進:「いい いい! じゃこのスタイルで『ヤマハ素人名人会』に出よ・・」
鈴之助:「何それ? コンテスト?」
孝之進:「テララテ楽器の大番頭さんからの依頼でね・・」
孝之進:「ヤマハから大番頭さんに、参加の打診があったんだって・・」
仁之助:「孝之進さん 曲は何演奏するのぉ?」
孝之進:「やっぱりオリジナル『さよならの海』で行こう」
ファーストコンサートで演奏したっきりの「さよならの海」
これがきっかけで、アレンジと練習が始まり最高の出来上がりになりました。
孝之進:「OK! 真打ち 間違いなしだね・・・」
そして1ヶ月後の6月2日『ヤマハ素人名人会』はヤマハビルで行われました。
自信を持って参加した『ヤマハ素人名人会』 結果は なんと「二つ目」止まり。
真打になれませんでした。 なぜ??
○そこには孝之進の決定的な戦略ミスがあったのです。
孝之進がミスを おかした! 何・・・
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思い出話 32 【 戦略的ミス・・ でもラッキーが! 】
『素人名人会』出演の3日前でした。
孝之進:「河姫さぁ キーボードじゃ無くてピアノ弾きながら歌ってくれん?」
孝之進は音の幅を広げるためにピアノでのアルペジオを入れるつもりでした。
孝之進:「滋之丞! キーボード弾いてくれる?」
滋之丞:「今からぁ! 無理だって」
正衛門:「孝之進 分かるけどさぁ 今からでは危険だよ!」
孝之進:「絶対 今より良くなるって・・・」
孝之進は譲りませんでした。
譲らないばっかりに、「二つ目」止まりだったのです。ほんとうに バカな孝之進です。
演奏は急場しのぎでは、聞き手に安心感を与えれないんですね。
あれほど 「ひとりで決めないで!」と言い続けたのに!
でも うれしいことが2つありました。
○名人会のゲストバンドが 何と! 『チューリップ』だったのです。
ちょうど「心の旅」が売れ始めたころでした。
孝之進が思い出話30で仁之助に渡した「夢中さ君に」は「心の旅」のB面の曲でした。
実は孝之進、去年 鈴之助と一緒に、初めて「チューリップ」のコンサートを見ていたのです。
まだ「オフコース」や「サディスティックミカバンド」とパックでツアーをしていた頃です。
そんな「チューリップ」を真近で見れて最高の時間でした。
もう一つのうれしいことは
○CBCラジオの『コッキーポップ』の出演が決まったことでした。
孝之進:「やっちゃったね!」
仁之助:「ラジオ出れるんですか?」
“など” のメンバーになって2ヶ月の仁之助は、もうラジオ出演!
滋之丞:「ラッキーだね 孝之進!」
正衛門:「また練習しなくちゃ・・」
孝之進:「今度は 最初のアレンジ通りにやろう」
かなり反省している孝之進・・・と思えたのですが
よからぬことを画策していました。
●同じ6月 第二回ライトミュージックフェスティバルの予選が始まったのです・・・
●二度目の参加はあるのか 楽曲は?・・・
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思い出話 33 【 ドッキドキ!のラジオ収録 @ 】
「じゃぁ 今度は二つ目のバンドですね。 “など” に出てもらいましょう」
そう言って、いつも聞きなれている 日比英一アナウンサーの声で紹介される。
続けて「こういうバンドであると自己アピールして・・」と振られたところで
孝之進:「僕たちはルックスとフィーリングのみに生きております・・」
孝之進:「津島が生んだ 偉大なるフォークグループでありまして・・」
孝之進:「 “など” と申します。」
当然の事ながら、スタジオ内は爆笑の渦。どの口がその言葉を発するのでしょうか・・・
緊張して、ドッキドキのはずなのに なぜか流暢に話し始めた孝之進。
日比アナウンサーのインタビューも、緊張をほぐしてくれました。
20歳の学生を40歳の大人が上手くあしらってくれました。最高!
そして最後に「女性だけ名前を聞こう」と振られ・・
河姫:「河姫です」
と ちょっと緊張しながら答えた河姫でした。
「それでは “など” に、やはりオリジナルで『さよならの海』」
このMCに続いて『さよならの海』の演奏がラジオから流れます。
○ラジオから自分たちの楽曲が聞こえて・・・。
○聴きながら、必死でカセットへマイク録音した思い出。
※当時 同時録音できる機材は持って無く、ノイズが入るマイク録音でした。
○ラジオに出ることは、夢のまた夢! と思っていたのに・・・
『目標設定と達成する努力が幸運を呼び込むツール』だという事を、この時知りました。
そして関係者全員が、それぞれの思いを胸にラジオに耳を傾けていたことでしょう。
●それから40数年の月日が過ぎた今でも、この音源が残っている
●昔を語る想い出が存在することは、時に 若返らせてくれる力になる
メンバーは皆元気でいますが、やね裏関係者ではもう亡くなった方もいます。
時を巻戻すことはできないが、音楽で前に進めるのなら、それも人生のひとつかもしれない。
・66歳になって「エリッククラプトン」を見に行く滋之丞。
・1972年から欠かさず「チューリップ」を見続けている孝之進。
・財津和夫コンサートを招請した鈴之助。
みんな 音楽から離れずに人生を楽しんでいる。
○まだまだ “など” の快進撃は続くのです
孝之進:「よかった! よかった! スタジオ録音聞いてみると雰囲気違うね・・」
仁之助:「安いベースでも言い音してたね・・」
ラジオ収録の興奮冷めやらぬうちに・・・
○第二回ライトミュージックフェスティバルの予選を通過し・・・
滋之丞:「また予選通過!」
正衛門:「来週もCBCラジオの収録!」
孝之進:「フレッシュポップス。司会 日比英一アナウンサーだって。」
●また ラジオ出演! 今度グランプリ取れたらプロになるの・・・?
そんな まぐれみたいな話 ある?・・・
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思い出話 34 【 ドッキドキ!のラジオ収録 A 】
・なんと400バンドを越す参加のあった「ライトミュージックフェスティバル」の予選大会
・予選で入賞した32バンドが決勝戦へと駒を進めます
「今日は その中の上位8バンドにスタジオに来てもらいました。」
「最初は名古屋・尾張大会で勝ち上がった “など” の5人のメンバーです。」
そう言って、日比英一アナウンサーの声で紹介される。
「 “など” 確か津島だったよね。ヤマハ素人名人会二つ目。そのうち真打ちをってところかな?」
●覚えてもらってる。うれしい! メンバーは前回と違ってリラックス
日比アナウンサーの巧みなインタビューで時間をたくさん貰うことができ・・
メンバー構成や練習方法、名前の由来や「やね裏2nd.コンサート」のアピールもできた。
今回は 正衛門も河姫も参加し、滋之丞がいじられたものの楽しいトークができた。
「それでは “など” の演奏は、孝之進くんが作った・・ 孝之進くんは誰ですか? 」
孝之進:「僕です・・」
「僕って言ってもラジオじゃわからないから・・」
孝之進:「一番顔のいい・・・」
正衛門:「いや 顔のまずい・・・」
正衛門が笑いながら被せてくる。更に日比アナウンサーが被せて・・・
「いやいや 一番顔の長い人ですね・・」
「それでは孝之進くんが作った “など” のオリジナルで『白い風船』」
『白い風船』の演奏が始まりました。
●今回挑戦の楽曲は『白い風船』です
●学園祭で女の娘が突然前に出てきて驚いた あの曲です
○ラジオに出ることは、夢のまた夢! と思っていたのに・・・
2回目の出演ができてしまった “など”。 奇跡? 実力?
この日も関係者全員が、それぞれの思いを胸にラジオに耳を傾けていたことでしょう。
●実は後で収録した『白い風船』が6月に放送され・・
●先に収録した『さよならの海』が7月の放送となった事も付け加えておきます
『白い風船』が放送になった4日後・・・
○第二回ライトミュージックフェスティバルの決戦当日を迎えました
滋之丞:「さぁ がんばるよ!」
正衛門:「また いるよ! あのグループ・・」
そうなんです。
「思い出話17」でお話した南山大学フォーク研究会のバンドがまた競争相手だったのです。
孝之進:「上手いよねぇ でも 今回も負けないからね」
滋之丞:「大丈夫! 今回も “など” の曲はオリジナルだから・・・」
説得力ある言葉。 何処からその言葉は出てくるのか?
みんな 孝之進化しちゃったの?
●みなぎる自信! みなぎる闘志!
●昨年とは違った楽器編成! 新しいサウンド!
●河姫のキーボードと滋之丞のバンジョーが会場に響く!
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思い出話 35 【 夢よ! もう一度! 】
・頼姫のリードボーカルで挑戦した「第一回ライトミュージックフェスティバル」
・河姫のリードボーカル&仁之助のベースで挑戦「第二回ライトミュージックフェスティバル」
♪小さな恋のお話を 聴いてくれるの白い風船・・・
春の日差しが柔らかで 二人の笑顔が輝ってた♪
歌い終わって 審査の結果を待つ5人 否 鈴之助を入れて6人
○第二回 ライトミュージックフェスティバル フォーク部門グランプリは・・・
静まり返った会場に・・ 司会者の声が響く・・
●「白い風船」を演奏した “など” に決定しました。
鈴之助:「エッ やったー!!」
鈴之助が叫ぶ! みんな拳を握り締めて目を見開く!
ほぼ 同時に
鈴之助:「ちょっと待って・・」
鈴之助が 口に指を立てた!
○デジャブーを見てるみたいな・・ 去年と同じシチュエーション・・
なにやら司会者が 続けて賞を発表しはじめた・・・
○そして 審査員特別賞として、ビクターレコード株式会社より・・・
●「ビクターレコード賞」が “など” に贈られます。
○“など” の皆さん ダブル受賞おめでとうございます。
○そして 2年連続のダブル受賞、重ねておめでとうございます。
孝之進:「2連覇しちゃったよ!」
正衛門:「これって 凄い事だにゃぁーの?」
滋之丞:「2連覇だよ 2連覇!」
河姫:「私と坊ちゃま(仁之助のあだ名)は初めてだけど、嬉しい!」
鈴之助:「あんたらぁ 凄いわぁ! プロだよ・・・」
正衛門:「また勝っちゃったね、あのグループに」
1回目は怖いもの知らずの、勢いだけで取ったような気がしていたが
連覇となると話が違う。それはメンバー全員が思っていました。
孝之進:「たくさん仕事が来たら大変な事になるよ・・」
滋之丞:「ギャラ上げた方がいいねぇ」
笑い話だが、この後仕事は増え周りの期待が大きくなったのは事実でした
本人たちはどうか? と言うと・・・
●そんな快挙があったのに、みんなの人生は何も変わらず・・・
●その時代が楽しくて・・・ とても しあわせだった!
なんか 悟っちゃって? そんな年寄り・・・?
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思い出話 36 【 津島地区始めての店頭ライブ! 】
・コンテスト2連覇達成の “など” は、休む間もなく演奏に追われていました。
・そんな忙しい中で、念願の津島地区初めての店頭ライブが予定されたのは
・なんと! コンテストから2週間後の土曜日の午後でした。
孝之進が大番頭さんと約束した10月から 10ヶ月も過ぎていました
大番頭:「孝之進くん 長かったねぇ ここまでこぎつけるのに・・」
正衛門:「孝之進の明日は何時になるかわからんでねぇ・・、信じたたらあかんの」
大番頭:「どのくらい集まると思う?」
孝之進:「宣伝した?」
大番頭:「常連さんには話たるよぉ・・」
鈴之助:「えぇっ! それだけ! “など” が演奏するんやよ」
大番頭:「ほんでも・・・ お客さん溢れかえったらどうする?」
そんな話をしながらライブの準備です。これもまた楽しい。
● PAシステムはYAMAHAの新製品 足元に置くタイプなので音がこもるかも?
そんな心配をよそに ライブはスタートしました。
○♪ 何も言わずに ひとりでいると 愛〜した・・・♪♪
いつものスタートですが、音が店内に流れ出したとたん・・・
およそ楽器店とは関係の無い、おじさん おばさんが、何? 何?と集まりだした。
● エッ スーパーの売り出しじゃ無いんだけど!
● あっという間に通路は満杯!
孝之進:「皆さん コンニチハ! よく集まっていただきました」
正衛門:「あのぉ バーゲンセールじゃ無いので押さないように・・・」
孝之進:「今日は 津島で初めての店頭ライブをやっています」
孝之進:「僕たちは “など” と言う名前のバンドで・・」
孝之進:「ヤマハのコンテストで 昨年と今年と2年連続で優勝しました・・」
シーンと静まり返っている。お客さんははじめて見るライブに緊張してるし
“など” は初めてのオーディエンスの無反応にシーンとなってる・・
●どうなるのこの状態・・・ 溢れかえっている・・
●初めての店頭ライブは 大失敗?
孝之進 正衛門 鈴之助どうする!
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思い出話 37 【 店頭ライブで新曲お披露目! 】
・愛知県の人は保守的といわれています。
・最初は遠慮して、声も出さずに取り囲むようにしか見ていないのに・・
・雰囲気に慣れてくると今度は、いつまででも乗りっぱなしになるのです。
鈴之助は心配していました。
● あまりに人が溢れかえると、消防署のお世話になるかも・・・ と!
やね裏を結成した時に、観客動員などの件でしっかり勉強した鈴之助ならではの心配でした。
大番頭:「鈴之助くん まさかこんなに人が立ち止まっちゃうなんて・・」
大番頭:「ちょっと心配になってきたけど、鈴之助くん・・」
鈴之助:「もう 始まっちゃったからね。大番頭さん」
鈴之助:「あとは 孝之進と正衛門に任すしかないんじゃない」
二人がそんな話をしていた頃 孝之進は・・
○やっぱり PAのスピーカー位置が低すぎて 音がこもってしまった ・・と思っていました。
相変わらず それしか考えないないんだね。このおバカさんは?
大変なことになってるんだよ 世間は・・ 今!
正衛門:「皆さん 今日はありがとうございます」
正衛門:「予想を遥かに超えたお客様で マイクの音が出なくなってしまいました」
正衛門も限界でした。自分の声が聞こえないのです。
孝之進:「ありがたいね 正衛門。こんなにたくさんの皆さんに “など” を知ってもらって・・」
正衛門:「ほんとだね。皆さん本当に感謝しています」
孝之進と正衛門のMCでライブの緊張感も薄れてきたところで
孝之進:「・・と言うことで、“など” の1回目の演奏を終了します」
孝之進:「1時間後に2回目のステージを行いますのでね・・」
正衛門:「よかったら 見に来て下さい。ありがとうございました。」
●あっという間に いつものテララテ楽器の雰囲気に戻りました。
大番頭:「孝之進くん 正衛門くん どうなることかと思ったよ」
鈴之助:「やばかったね。本当に・・!」
大番頭:「やっぱり・・・ お客さん溢れかえったねぇ」
そんな話をしながら、2回目のステージの準備するメンバーと大番頭さんでした。
● PAシステムのスピーカーを高くして音が通るようにしよう・・
そんな中 2回目のライブはスタートしました。
● 今回は時間が分かっているので、じんわりと人が増えてきます
○♪ 何も言わずに ひとりでいると 愛〜した・・・♪♪
2回目のスタートです。音が店内に流れ出しましたが・・・
さっきのような混乱はありません。
孝之進:「皆さん コンニチハ! さっきより音が聞こえますよね」
正衛門:「離れていても聞こえますのでね・・」
孝之進:「お買い物を楽しみながら耳だけ傾けて下さいね」
孝之進:「僕たちは “など” と言う名前のバンドで・・」
孝之進:「ヤマハのコンテストで 昨年と今年と2年連続で優勝しました・・」
先程のような混乱も無く、孝之進と正衛門のMCで穏やかに演奏が進んでいきます。
ヤマハのライブでは2曲しかレパートリーが無かったのですが・・ 思い出話19参照
今では充分なレパートリーで30分の演奏ができます。
そしてラスト前に “など” の新曲が始まりました
仁之助:「僕が作った曲『ひとり旅』を聞いて下さい・・。」
●仁之助のオリジナルの評判はよく、この後も “など” の定番ソングになりました。
●津島で初めての店頭ライブは 大成功!
気をよくしたメンバーの次の仕事は? アイスクリーム? 天ぷら?
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思い出話 38 【 海の見えるレストラン @ 】
○彼と彼女がドライブしたら、一度は立ち寄る おしゃれな雰囲気・・・
○知多半島にある 素敵な海辺のレストラン・・・
○アイスクリームの天ぷらが有名な・・
○ レストランたかみね (現 シーサイドカプリ)
鈴之助は沈み行く夕日を浴びながら、ハイボールを片手にステージを見ていました
○♪ 美しすぎて君が怖い〜 美しすぎて愛が怖い〜♪♪
●ステージでは 今 孝之進が熱唱していました
えっ! 「君が美しすぎて」 野口五郎の歌? 孝之進? 何やり始めたの・・?
鈴之助:「孝之進の歌謡曲は最高だね。合っとるわぁ この雰囲気に・・」
鈴之助くん そんなにのんびりしてていいの? “など” のメンバーは?
○ “など” のメンバーもステージにいます。
そうなんです。店頭ライブから5日後の今日 次の仕事がスタートしたのです。
ヤマハからの仕事で、5日間この「レストランたかみね」で演奏することになったのです。
木曜日から始まって 月曜日までの5日間 宿泊付の仕事です。
夕方6時からスタートし、30分1ステージを3回行います。
ヤマハのミキサー担当のLM課の人も一緒なので、安心して演奏に打ち込めます。
正衛門:「皆さん こんばんは “など” で〜す。素敵なレストランですね。ちょうど夕日が沈む
頃で・・・、私たちには後ろなので何も見えないんですけどもね・・」
正衛門もビールを飲みたいのを我慢しながらのMCです。
孝之進:「1曲目は 野口五郎のオリジナルナンバーから『君が美しすぎて』をお送りしまし
たが、いかがでしたでしょうか・・・」
正衛門:「我々、実はフォークソングのオリジナルを中心に演奏しているバンドなんですが、
歌謡曲も入れながら楽しんでいただきますので宜しくお願い致します。」
鈴之助も入れた数人の、まばらな拍手が応援してくれる。
平日の6時 こんなものかと思いながら無事1回目のステージは終了しました。
孝之進:「店頭ライブのほうがお客さん多かったね」
正衛門:「あれは異常だったからねぇ」
◇ 「孝之進さん 音のバランスどうでしたか?」とミキサー君が聞いてきた
孝之進:「うん バッチリ OK いい音するね」
正衛門:「やりやすい、やりやすい。最高!」
正衛門:「さっき孝之進のマイクが入らなかった時はビックリしたけどね」
◇ 「僕もビックリしました。調べてみたけど異常なかったし・・・」とミキサー君
孝之進:「ごめんね 心配させて・・」
孝之進:「途中で歌詞忘れたので、ちょっとマイクのせいにしただけ」
そういうアイデアは直ぐに思いつくんだから・・ だめだよ!
孝之進:「そんなに上手だったぁ? 使えるなぁ これから・・・」
だめだったらぁ このお調子もんがぁ・・
仁之助:「俺も 忘れたらそうしよう」
ほら 直ぐに真似る子がいるんだから・・
そして 2回目 3回目のステージも無事に終了し 初日は過ぎていきました。
● 宿舎に戻り、反省会と明日の曲を検討して、皆ゆっくりと休む・・
・・訳が無いですね! まだ20歳 青春真っ只中! 鈴之助もいる・・・
明日のことなんか 誰も考えてない! エッ〜〜!
鈴之助のギャランと正衛門のスカイラインが吼える!! つづく〜
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思い出話 39 【 海の見えるレストラン A 】
○ 潮騒の音で目が覚める。2分も歩けばそこは砂浜・・・
○ 太平洋が青く澄んで、おいで おいでをしている・・・
○ 好きなだけ泳いで、好きなだけ食べ、3時のおやつにスイカまで・・
好きな音楽で、ギャラをもらって、自由に暮らせる・・・
○ こんな暮らしが・・ こんな暮らしが・・ したかった!
● メンバー全員が別人のように、はしゃいで、しゃべって、笑っている
レストランたかみね (現 シーサイドカプリ)でのライブも・・
残すところ・・・2日 今日は日曜日・・・
鈴之助:「ちょっとみんな真っ黒だよ。そんなんあかんよ!」
そういう鈴之助も、負けず劣らずなのに・・
○♪ あなたにとっては 突然でしょう ♪♪
日曜日のステージは、チェリッシュの「ひまわりの小径」からスタートです。
河姫が得意のチェリッシュです。本当に良く似ていて、最初の練習ではメンバーもビックリでした。
孝之進の橋幸夫も足元にも及びません。エッ 霧氷?
1回目のステージも無事終わり、30分の休憩後2回目のステージに向かったときでした。
鈴之助が血相変えて走ってくるではないですか・・
正衛門:「鈴之助どうしたの?」
鈴之助:「ビックリだよ ビックリ!」
滋之丞:「何をあわてとるの?」
河姫:「誰か知ってる人が来たの?」
鈴之助:「お客さんがさぁ・・・」
仁之助:「お客さんがなにぃ 今度俺歌うんだよ。」
●お客さんがどうしたの? なにかトラブルでもおきたの?
●ミキサー君はもう行ってるよ、ステージに!
日曜日の夜 何か起きそうな 2ステージ目
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思い出話 40 【 海の見えるレストラン B 】
鈴之助の大騒ぎで緊張しているメンバーがステージに着くと・・・
確かにビックリするはずです。お客さんは満席。順番待ちまで出ていました。
鈴之助:「わかったでしょぉ」
滋之丞:「ほんとだわ! すごいじゃん!」
当然だがお客さんの声も大きく、ちょっとPAが負けるのではと思うほどです
さあ大きく深呼吸して 2回目のステージは仁之助の「ひとり旅」からスタートです
正衛門:「みなさんこんばんは。“など” 2ステージ目最初の曲はベースをギターに持ち替て、
仁之助がお送りします。彼のオリジナルから・・『ひとり旅』聴いて下さい。」
●ひときわ大きな拍手が起こります。
そうなんです。この4日間で仁之助ファンが出来ていたのです・・
軽快なテンポで始まるこの歌は仁之助にぴったりの曲で・・
仁之助がリードボーカルでギターを弾き、ベースは孝之進が担当します。
○♪ まっかな夕焼けを 追いかけて ♪♪
●えっ! 歌が聞こえてこないけど・・・
●まさかの緊張で 最初から歌詞が飛んじゃった??
○ひょっとして 孝之進のあのテクニック使ってるの・・・
ほらっ ミキサー君キョロキョロしてない?
読者の皆様 ご心配いりません。
この音源は カラオケ用なので最初から仁之助の声は入っていません。
河姫の歌うパートと、コーラスは初音ミクが歌っています。
2019年の今 本当に便利になったものです。(暫し 音楽をお楽しみ下さい)
○♪ でもそんな時 君の事を思い出す僕♪♪
仁之助の「ひとり旅」が終わると 殆どの人がステージにくぎづけです。
「やっぱり日曜日は違うなぁ」 当然メンバーの演奏にも熱が入ります。
孝之進:「ありがとうございました。1曲めは 仁之助のオリジナルから「ひとり旅」聴いて
いただきました」
孝之進:「どうですか皆さん・・ ステージからちょっと左側に目を向けて下さい」
そう孝之進が客席に向かって話しかけた途端!・・・。
●「わぁ〜」と言う歓声が上がりました
孝之進:「今が一番綺麗に夕日が見える時間だと思います。如何ですか〜」
●「最高〜 来てよかった〜」と言ってくれる黄色い声・・
●「見えねぇぞー こっちはー」と言う灰色のダミ声・・
河姫の直ぐ前の席に座っている7.8人の団体さんは怒っています。
さすが レストランのライブ 色々なお客さんがいます・・
孝之進:「夕日が見えた人 見えなかった人にも平等に夕日をテーマにした “など” のオリジナル
をお送りします。リードボーカル河姫が歌います。『さよならの海』聴いて下さい」
●「おぉー えーぞー 待ってました」と声が掛かる中
イントロが流れ「さよならの海」が始まります。
○♪ また 一人で来たこの海に 枯れ葉が落ちる頃 ♪♪
○♪ 一人海を眺めに 貴方のいない海を・・ ♪♪
河姫のボーカルが響きます。
隣の彼と 肩を寄せ合って聴いているカップル・・・
うなづきながら うっとり聴いている団体さん・・・
ひとり涙している 鈴之助・・・
○♪ あの遠い愛はもう答えない さよならの海♪♪
●かなりお酒が進んでる様子のこの一行は・・・
●地元の消防団のおじ様方とか・・・
何も起こらぬことを祈りつつ つ・づ・く
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思い出話 41 【 海の見えるレストラン C 】
河姫の歌「さよならの海」が終わって・・・
いい感じの余韻が残っている その時でした・・・
「お姉ちゃん 脱いで!」の声が 団体さんから・・
●ピクっと 顔に緊張が走ったミキサー君!
●ベースで身構える仁之助!
一瞬 ステージの上に緊張が走る
その時だった・・・
正衛門:「さぁっ! 脱いでいるとステージが終わってしまいますので・・ 」
「そりゃそうだわな!」と団体さんから拍手がおこる・・
正衛門:「次の曲聴いて下さい『君が美しすぎて』」
○♪ 美しすぎて君が怖い〜 美しすぎて愛が怖い〜♪♪
●孝之進の熱唱が始まりました
さっきの緊張は何処吹く風、団体さんも盛り上がってます。
孝之進も歌詞を忘れないで歌っています。
やれば出来るのに、時折気を抜くんだよねこの人は・・
団体さんも含めて大盛り上がりだった、2回目・3回目のステージ。
●正衛門のとっさのMCに救われたステージでした。
鈴之助:「いやぁ〜 一瞬どうする?って思っちゃった」
滋之丞:「ほんと ほんと 正衛門のMCには笑いそうだったけど・・」
「このステージ中止かなって思いましたよ・・」とミキサー君
仁之助:「そうだよねぇ 誰だってそう思うよね」
孝之進:「当の本人はどうだったの? 河姫?」
河姫:「え?って思ったら もう正衛門さんが話していたので何にも・・・」
正衛門:「よかった よかった 楽しく終わって・・・ 」
孝之進:「しかし 3回目のステージは波しぶきがすごかったねぇ」
えっ! ここでギターの心配。相変わらずだよね孝之進は。
正衛門:「本当に・・ ギターの湿ってる事。ちゃんと拭いておかないとね・・」
●そんなこんなで 全員で楽器のメンテナンスをしながら・・・
●4日間の思い出話に 内海の夜は更けていきました。・・・
楽しいお仕事おつかれさまでした。
レストランたかみね様。いい思い出をありがとう。
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思い出話 42 【 ちょっと立ち止まってみると・・ 】
1972年(S47)7月の “など” 結成から、1973年(S48)7月のレストランでのライブまで
《41》の思い出話で振返って来ましたが・・・、今 思ってみると・・
なんて濃い一年を “など” の関係者は過ごしていたのかと驚かされます。
思い出話は#1〜#41にまとめてありますが、その裏側には・・
メンバーそれぞれの時間、それぞれの思い、それぞれの考え、見るもの、聞くもの、
人とのコミュニケーション、全てが違うはずなのに・・・
それぞれの人生の未来を決めなくてはいけない重要な時期に・・
皆 葛藤しながらも一緒に前を見て走っていた時代・・
何が “など” を動かしていたのでしょうか?
鈴之助と孝之進は大学へ入って(1971年 S46.)からのお付き合い・・
滋之丞と正衛門と孝之進は高校から、と言っても3年になってからのお付き合い・・
せいぜい2〜3年の付き合いで こんなにも熱く太い絆ができ・・ 48年経過
2019年(令和元年)の今も それが続き、今後も最後の二人まで続くのでしょう・・・
“など” を動かしていたもの、それは紛れも無く
○この太い絆と信頼!
○そして 次から次へと出てくる目標とアイデア!
○それを達成しようとする努力と熱意!
孝之進はその時代があったことを、とても誇らしく思っていました。
孝之進は仕事柄 若い世代の教育をすることがあるのですが、そこでいつも感じるのは
○「目標を持たない人がいる」 なぜなら 結果で挫折したくないから。
だから 高い目標を持たない。いわゆる チャレンジが怖い。
○「自分になぜ?と 問いかけない」 結果が出るまで逃げて逃げて逃げまくる。
だから人と話すコミュニケーション力が無い。よってメンタルが弱い
研修でこの場面に遭遇するたびに “など” を思い出す孝之進でした。
この「思い出話42」を書いているこの日も、再結成に向かって動いている仲間がいる・・
鈴之助と孝之進を除いた、正衛門、滋之丞、仁之助、塚の局(1974年参加)の4名
18:00からの集合なのですが・・・
ゲリラ豪雨で名鉄本線が止まって、メンバーが揃わないとの一報が・・・
孝之進はと言うと、そんな大事な時に赤羽で昼酒を楽しんでいるのです。
孝之進 大丈夫なの? 昼真っからお酒飲んでて!
孝之進はこの日初めて、高齢者憧れの「仲間で昼酒」デビューでした。
相変わらず チャレンジ精神は旺盛なんだから・・
一方 やっとメンバーが揃った名古屋では・・・
滋之丞:「皆で温泉でも行かへん・・」
仁之助:「いいねぇ。 みんなで行くのは ヤマハリゾート合歓の郷 以来じゃん」
正衛門:「じゃあ 決定。鈴之助に宿押えてもらお・・」
●あれ? 温泉 旅行 !!!
● “など” 再結成のライブプランは? どうなったの?
まぁ 高齢者の集まりだからネ 忘れちゃった?
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思い出話 43 【 やね裏2nd.コンサート前日 】
楽しかったレストランでのライブも終わり、一息つきたいところですが・・・
一ヶ月後に迫っている、やね裏主催の「2nd.コンサート」の準備が始まりました。
ポスター作成・チケットの販売・コンサート出演者の最終ブッキングなど・・
目の回るような忙しさです。「1st.コンサート」とは比べ物になりません。
会場は1500名収容の福祉会館です。
ポスター・チケットは仁之助の友達が原画を書き、孝之進の親戚の印刷会社で作成しました。
やね裏メンバー総出で、ポスターを貼らせてもらうための交渉・・
必死でチケットを売って歩きました。
家族・親戚当たり前、それまでの人脈をすべて使って完売です。
もちろん あの「テララテ楽器」でも販売していましたが・・
○一人で100枚売るという脅威の女子高校生が現われました。
インセンティブは2名無料招待だったそうです。
それにしてもすごい販売力! 後にも先にもそんな人を見たことがありません。
メンバーも知らない女子高生や、たくさんの周りの人の応援を受けて・・・
○やね裏2ndコンサートの前日を迎えることができました
●機材搬入 最終打合せ
●まだ演奏が完成していないバンド・・・
みんな! 本当に大丈夫なの? チケットは完売してるよ!
滋之丞:「さて 準備も一通りできたので明日のリハーサルに備えて・・」
仁之助:「今から練習だね、孝之進さん所へ直行!」
正衛門:「じゃあ 俺の車と孝之進の車に分かれて行こみゃー」
孝之進:「了解。鈴之助はこっちに乗る?」
鈴之助:「いいよ。頼姫もこっちで行こう」
えっ! 頼姫さんも参加? いろんな人がいるんだねぇ
●練習? 頼姫? これから?・・・
●慌しいコンサート前夜の “など” です
明日の朝は9:00集合だからね!
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思い出話 44 【 口くちの「ロロ」! 】
孝之進の家に着いた一行は、いつもの二階に上がるやいなや・・・
孝之進:「さぁあ 頼姫のバンドのバック練習しますよ〜」
そうなんです。あの頼姫が女性デュオのバンドを作っていたのでした。
「思い出話19」の解説で気になっていた皆さん、これがその真相です。
“など” 脱退後 高校の同級生と意気投合して結成したバンドでした。
ギター1本とボーカルの編成です。まさにシモンズを思わせます。
鈴之助:「頼姫のバンドは 何て言う名前?」
頼姫:「『ロロ』って言うの・・」
正衛門:「『ロロ』って カタカナで?」
頼姫:「そうなの・・。二人ともよくしゃべるから、くちくちって書いて『ロロ』」
鈴之助:「面白いけど いい名前じゃんね・・」
孝之進:「OK じゃあ 曲によってバックメンバー入れ替わろうか?」
滋之丞:「ドラム 入れる?・・」
頼姫:「ドラムはいらない。ギターとベースだけお願いします。」
孝之進:「了解! じゃあ仁之助はフルで・・ 正衛門と俺は交代して・・」
そして 「ロロ」との練習も終わり、メンバーはそれぞれに帰路に着きました。一人を残し・・・
鈴之助:「久しぶりやんね。孝之進のところ泊まるの・・・」
孝之進:「う〜ん テララテ楽器の店頭ライブ以来だからねぇ、一ヶ月ぶりだよ・・」
普通 一ヶ月泊まらなかっただけで久しぶりって言う?
どんな生活してるんだろう、この二人は? 大丈夫?
○そして 1973年8月24日の朝が、メンバー全員に平等にやってきました。
9:00集合に何人のメンバー来るのだろうか?
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思い出話 45 【 やね裏2nd.コンサート@ 】
8月24日 8時50分 鈴之助と孝之進はコンサート会場に着きました・・・
おもむろに二人が車から降りると・・・
滋之丞:「遅いねぇ・・」
仁之助:「二人とも 遅行だよ。 ち・こ・く・・」
孝之進:「ちょっと待って! まだ8時50分だよ。なぁ鈴之助?」
鈴之助:「う〜ん 遅刻だな。みんな集まっとるもん・・」
鈴之助のジョークで全員大笑いでした。
そうなんです。関係者全員 誰も遅れることなく集合していました。
正衛門も滋之丞も仁之助も孝之進も鈴之助も、皆のモチベーションはクライマックスです。
孝之進:「じゃあ 全員役割分担で作業始めてくれる・・」
滋之丞:「リハは13時からだからね! みんな助け合っていこ!」
前日に椅子並べは終わっているので、楽器のセッティングと照明の調整です。
○でも・・ 誰もその道のプロはいません
うそっ! たかみねの時でもヤマハのミキサー君いたんじゃない?
大番頭さんの力を持ってしてでもだめなの?
大番頭さんはこの日ヤマハから ギター・ベース・キーボードのアンプを借りてくれました。
鈴之助:「僕と、あと仁之助の友達二人でミキサー担当するから」
えええっ! 鈴之助がミキサー! いつそんな技術身に付けたの?
○今日 ぶっつけ本番です。こっちのリハの方が大変かも・・・
なにしろ、全部自分たちの力で作り上げるコンサートなので素人ぽっさ前回です。
○何とか 形になり、バンドのリハーサルの開始です。
本番と同じ順番でランスルー アコスティックなバンドは問題ありません。
いい感じじゃない! 鈴之助やるじゃん。
○そして 最後の “など” の演奏でいきなりハウリング連発・・
エレキとドラムを使うのでボーカルを大きくすると ハウるんですね。
正衛門:「お〜い 鈴之助たのむよぉ・・」
鈴之助:「わかってるんだけどね。ちょっと待たんね・・」
孝之進:「鈴之助 はねっ返り(モニター)が聞こえない・・」
鈴之助:「わかってるって。・・・・・・」
こんなやり取りが続く中 リハーサル終了の時間が迫ってくる。
滋之丞:「孝之進 良くなってきたんじゃない?」
孝之進:「正衛門 はねっ返りはよく聞こえるようになったけどそっちはどう?」
正衛門は客席で音のバランスを確認していました。
正衛門:「OK! 鈴之助 GOOD!だよ」
鈴之助:「やったー よし 本番へ GO GO!」
●無事?? リハーサルも終了し、あとは開演時間を待つだけです。
孝之進が控え室にいると、「孝之進くんお久しぶり」と懐かしい人が駆けつけてくれました
なんと中学時代のマドンナ、お美智ちゃんではないですか。しかも差し入れを持って・・・
全く予想だにしない出来事に、「バンドやっててよかった・・・」と しみじみ思う孝之進でした。
ばたばたしている割には、余裕だね 孝之進は・・・
○そして 1973年8月24日 17:00 開演の時間がやってきました。
●みんな 緊張と疲労がピークです。でもワクワク感もピークです
初めての大コンサートの開演のベルが鳴り響きます。
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思い出話 46 【 やね裏2nd.コンサートA 】
○開演のベルが止み・・ スポットライトがステージ左を照らし・・
○一瞬の静寂がホールをつつみます
「コンサートに先立ちまして『カントリー&フォークプロモーションやね裏』会長よりご挨拶させて頂きます」
総合司会の大番頭 牟田吉さんの進行に沿って、孝之進の挨拶が始まりました。
孝之進:「皆さん今晩は、本日は「やね裏2nd.コンサート」にお越しいただき誠にありがとう
ございます。最初の挨拶なのでこんな堅苦しい格好していますが、この後は仲間の
音楽でしっかり楽しんでいって下さい・・」
びっくりです! 孝之進がスーツ着ていたのはこのためだったのね!
成人式以来だね・・ 孝之進のスーツ姿・・ 鈴之助もスーツ?
いやいや 鈴之助はミキサー担当で 今は大真面目です・・
滋之丞:「いい進行してるじゃない」
仁之助:「音もいいし 今のところ成功だね」
孝之進:「あーぁ 緊張した。 どうだった?」
正衛門:「おぅ よかった よかった・・ スーツが・・」
正衛門の突っ込みで緊張も解け、みんないつもの平常心に戻ってきたみたいです。
鈴之助:「ちょっと 音がこもってる?」
滋之丞:「お客さんが入ってるからね。でもこれでいいよ・・」
正衛門:「EQ上げるとハウると思うよ・・」
鈴之助:「了解! 僕ってミキシングの天才かなぁ・・」
また一人 孝之進化しているよ、その自信が怖い!
● “など” のメンバー全員が客席で見守る中、次のグループが登場しました。
「津島の皆さんコンニチハ! 僕たちは 『不思議な壁』 と言うバンドです」
「僕たちも “など” と同じように先月CBCラジオに出演したんですよ・・」
「その “など” の主催するコンサートに出れてとても嬉しいです・・」
「では 僕たちの1曲目 『目覚めた時には晴れていた』聴いて下さい」
男性1人 女性1人のデュエットバンドでとても爽やかなバンドです
○そして次は 頼姫のバンド「ロロ」の登場です
もちろん バックには正衛門と仁之助が入っています。
● 「ロロ」の1曲目は、懐かしいこんな歌からスタートです
○♪ 叱られて 叱られて あの子は町までおつかいに・・♪♪
○誰もが知っている「叱られて」の楽曲で「ロロ」の世界の始まりです。
滋之丞:「孝之進 頼姫ってこんなにMC出来たっけ?」
孝之進:「う〜ん “など” の時は 俺と正衛門がMC専属班だから・・」
滋之丞:「そうだね しゃべらせんもんね ふふっ」
滋之丞と孝之進は頼姫の進化に驚きながらも、とても満足でした。
● そして2曲目は1973年(S48)のヒットCMソング
あっ あの歌だ! と思った読者の皆さん。そうなんですよ!
● そして3曲目は頼姫作詞のオリジナルです
○♪ 今 愛する人と別れてきたの あの人に貰ったものは・・♪♪
正衛門:「これ 『フェアレディZ』って言う曲だって・・」
鈴之助:「いい曲ジャン。ほんと シモンズ みたいなハーモニーだね・・」
●そんな鈴之助の気持ちをよそに、「ロロ」の楽しい時間は過ぎ・・・/
頼姫:「皆さん 今日はありがとうございました。」
頼姫:「私たちの最後の曲になります・・・」
○「ロロ」の歌声を想い出に、頼姫とメンバーは2年程会うことはありませんでした。
この後 津島高校の後輩バンド 「ナーシーズ」 へと演奏が続き・・
※ナーシーズの音源が手元に無いのでお持ちの方は連絡下さい
コンサートラストのバンド “など” の演奏が始まります。
○さぁ! ミキシングは大丈夫だろか?
●鈴之助も緊張 メンバーも緊張 爆音がでるよ!
TULIPの「夢中さ君に」からスタートです
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思い出話 47 【 やね裏2nd.コンサートB 】
○「TULIP」メドレーでスタートです
○♪ 真っ赤な車で いつもやってくる・・♪♪
孝之進のボーカルで「夢中さ君に」 続けて仁之助のボーカルで「新しい地球を作れ」
更に仁之助のボーカルで「早くおいでよ」
○♪ 今すぐに 僕のとこへおいで・・♪♪
3曲メドレーはこのコンサートで始めての試みでした。
この頃 TULIPはまだメジャーではなく、現在のように情報も早くないため・・
殆どのお客さんが “など” のオリジナルだと思ってくれていた時代でした。
孝之進:「皆さんこんにちは! “など” で〜す」
孝之進:「大きな音でスタートしたのでビックリした方もいるかもしれませんがネ・・」
孝之進:「2曲目はちょっと静かな曲を お送りいたします」
○♪ 薄紫に染まった雲と 夜に吹き込むきままな風が・・♪♪
河姫のリードボーカルで「今ならあなたと」が始まりました
ちょっとバラードっぽい曲で あの河姫の声が良く似ている チェリッシュ の楽曲です
鈴之助:「いいね! もうここからは大丈夫 大丈夫・・」
そう言ってる鈴之助の声が聞こえてきそうな、バランスの良い音作りです。
この曲は チェリッシュ のデビュー曲「なのにあなたは京都へ行くの」のB面の曲です
「夢中さ君に」も TULIP の「心の旅」のB面の曲です
以前 メンバーの中でこんなことを話していました
滋之丞:「そう言やぁ “など” の演奏はB面の曲が多いじゃない?」
仁之助:「言われてみれば そうだね」
孝之進:「だってさぁ A面の曲はみんな知ってるから下手なのが直ぐばれちゃうだろ・・」
正衛門:「確かに・・」
正衛門の真顔の返事に みんな大笑いしたものです。
そしてステージは順調に進み、恒例のメンバー紹介で大いに笑いを取った後・・・
孝之進:「それではここで 我々の新曲をお披露目したいと思います・・」
孝之進:「ボーカルに正衛門をフィーチャーしてお送りします。」
孝之進:「この曲です」
○♪ わ〜たしが〜 ささ〜げた〜 こ〜の人に♪♪
出ました! 演歌!! お客さんは 乗りのりです。
正衛門:「いかがででしょうか? “など” の新しい試みは・・・?」
鈴之助:「う〜ん いいよいいよ! レストランライブみたい・・」
鈴之助もニッコニコの笑顔です。
会場の雰囲気も和んだところで、後半の曲が始まりました。
仁之助ボーカルの 「ひとり旅」 に続いて・・
○♪ コスモスの小さな花を 見るたびにあの日が帰る・・♪♪
チェリッシュの楽曲から「コスモス」を挟んで・・
ラスト前は 「さよならの海」 そしてラストは「白い風船」
○無事に「やね裏2nd.コンサート」は終了いたしました
やね裏メンバー全員 放心状態です・・ 孝之進・滋之丞・正衛門・仁之助・河姫も・・
○最高の手づくりコンサートでした。お疲れさまでした!
・・・っと 言うものの まだまだ後片付けが残っています。がんばれ みんな!
●これが 青春だ! 最後までやり遂げよう・・
●ちょっと 古い言葉を発しながら・・・
1ヵ月後は 中京テレビのライブが待っている!
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思い出話 48 【 ライブでこんな良い音が出る! 】
●名鉄レジャックの6Fに 「中京テレビ レジャックスタジオ」が出来ました
●皆さんも知っている 「アリス」も演奏していたサテライトスタジオです
○ “など” 初めてのサテライトスタジオでの演奏が始まりました
オープニングは「ひとり旅」 初めての試みです・・
○今回の演奏は アコスティックな曲でまとめました
●メンバーもビックリの、素晴らしい音が聞こえてきます。
音響機材もいいし、ミキシングも凄い! 当然ですよね、プロなんだもの・・
なんでこの時の音源を持ってないんだと 孝之進は未だに残念に思っています。
2曲目は「コスモス」 3曲目に「さよならの海」 そしてラストは「白い風船」
“など” の30分のステージは あっと言う間に終了しました。
孝之進:「すっごい 良い音だったねぇ・・」
滋之丞:「最高だよ・・ 気持ちいいよなぁ・・」
河姫:「ほんとに スタジオ録音してるみたいだった」
孝之進:「そうだよね・・ 河姫はスタジオ録音経験してるもんね・・」
○ 河姫は先月、YAMAHAのボーカルオーディションに合格していたのです。
いわゆるプロになっていました。他のメンバーはアマチュアです。
河姫:「坊ちゃまの『ひとり旅』今までで一番良かったんじゃない?」
仁之助:「いやぁ〜 俺もそう思うもん。 感激!」
正衛門:「こうやって演奏できると俺たちって 本当うまいなぁ・・」
「やね裏2nd.コンサート」は 素人の手作りの音。 これはこれでいい・・。
でも プロの音作りは全然凄いと認識したメンバーですが・・
正衛門の言葉に みんな改めて自分たちの演奏を褒めてやろうと思いました。
たまには良いかぁ・・ ここまでノンストップで走り続けてきたんだもんね・・
・・・いい感じで少し仕事は無くなるのかな? 孝之進?
●残念でした。 1週間後に文化祭出演がありま〜す・・
●今年は 高校へ行きます。「椙山女学園高等学校」へ・・・
誰のコネクション?
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思い出話 49 【 忙しすぎて記憶が飛んでる! 】
○ “など” 初めての女子高 文化祭ライブ・・
当時 この椙山女学園高等学校はお嬢様学校の一つで、男子生徒憧れの園でした。
では なんでこの憧れの場所に出演できたのか?
さかのぼる事4ヶ月前、あの仁之助がデビューした天王川野外ライブで・・・
孝之進に話しかけてきた二人の女子校生がいました・・・
その女の子たちは、中学時代にソフト部に入っていて・・
その時の先輩を孝之進がたまたま知っていた事で、“など” のファンになってくれたのでした。
そして 「2nd.コンサート」に感動した二人は、文化祭実行委員になり・・
秋の文化祭に呼んでくれた と言う次第なのです。
その子は 名前をおゆきちゃんと言って、とってもほがらかな女の子でした
その おゆきちゃんとお友達に・・
●「控え室は こっちですヨ」って案内されたのは普通の教室・・
最初は あっちでボソボソ、こっちでボソボソと話声がしていたのが
おゆきちゃんが孝之進と話を始めた途端・・・
黄色い声が大きくなって周りは、女子高生の人だかり・・・
●当然だよね ここは女子高だもん・・・
人生最初で最後なのに、残念ながらこの時の記憶はここまで・・・/
何を演奏したのか、どんな状況だったのかもすっかり忘れてしまったメンバーでした。
どこのライブでもすぐに人気者になる仁之助さえも・・
巫女ちゃんと言う熱烈なファンと知り合ったことぐらいしか記憶にありませんでした。
●この後も 年末にかけてクリスマスパーティがいくつかあったのですが・・・
●みんな 断片的にしか思い出せません・・
●たぶん 解散コンサートの時にも すでに記憶から消えていたのかもしれません
※解散コンサートの時に作成した資料にも載っていませんでした。
それでも忘れない記憶があります。カネボウの工場で演奏した時のことです。
この会社はほぼ女性ばかりの従業員で構成されていて、ステージ付きの大ホールを持っていました。
演奏中は割れんばかりの黄色い声援が続き、休憩中のトイレにも一緒についてこられる状況で、
アイドルって、こういうことなんだと嬉しい経験をしました。
○ほんとうに 忙しくて 忙しくて・・ 1973年は過ぎてゆきました。
みんな! 大丈夫? ちょっと心配・・・
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思い出話 50 【 “など” 解散するの? 】
1974年(昭和49年)が明け、“など” 最初の演奏会は・・・ なんと!
○ 河姫 「20歳の成人式」の会場でした・・
残念ながらこれもまた、何をどう演奏したのか記憶に無く・・
当時の控え室での食事の写真は残っているものの、演奏姿は残っていません。
本当に演奏したの? 弁当食べに行っただけじゃないの?
そう思われても仕方が無いくらい忘れています・・
●ここでの演奏が河姫最後のステージとなりました
正衛門:「えぇっ! 河姫も辞めちゃうの・・」
仁之助:「河姫さんもって・・、どう言うこと?」
河姫:「まさか・・! 本当に・・・?」
滋之丞:「そうなんだわぁ 孝之進が辞めるんだって・・」
正衛門:「いい頃合いかもしれんねぇ。最近疲れてきたし・・・」
正衛門:「なら・・ 俺も辞めるわ・・」
仁之助:「・・・ “など” 解散ってこと?」
孝之進:「解散ではなくて・・・ ちょっと休憩ってとこかな・・・」
正衛門:「そうだね・・ ちょっと休憩してから・・ 考えよか」
滋之丞:「俺は 続けれるから大丈夫」
1973年を思いっきり突っ走ってきた “など” の名前は滋之丞が守ってくれることになり・・
他のメンバーはそれぞれの生活に帰っていきました。
河姫は就職をし、正衛門は家業に専念し、仁之助は変わらず お勤め人で・・
孝之進は長い髪を切り、七三に分け・・・ 就活に入りました。
●音楽活動ばっかりしていた孝之進、就職できるの??
●それより 仁之助はもう働いてたの??
●正衛門の家業って 何??
○新しい “など” は滋之丞の手でロックバンドに変貌を遂げ・・
○数ヵ月後 “など” は「ミルクローション」に名前が変わりました・・
果たして “など” は復活できるのか?
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思い出話 51 【 ・・・・・・ 半年が過ぎ 】
季節も春から夏になり、秋の気配が聞こえてきそうな頃になりました。
孝之進の髪も少し長めになり、就活を始めた時の七三分けも六四分けになり・・
大丈夫? 又伸ばし始めて? 就職は?
そうなんです。無事就職も決まり、来年の3月まで暇になった孝之進がそこにいました。
「さーて メンバーはみんなどうしているのかな?」
そう思った孝之進は久しぶりに、テララテ楽器に行ってみました
エスカレーターで上っていくと、聞き慣れた話し声が・・・
仁之助:「孝之進さん 全然来てないの?」
大番頭:「そうなんだわね めずらしいやろう・・」
正衛門:「ほんとにぃ? 就職決まったって聞いたけどなぁ・・」
大番頭:「もう半年は顔見せとらんよ、どうしたんだろうねぇ・・」
孝之進:「どうもしとらんよ。お久しぶり・・・」
そう言って孝之進は正衛門の肩をたたきながら・・
孝之進:「正衛門! 来年の2月までバンドやらん?」
正衛門:「おぉ! びっくりするやん・・。元気だった?」
突然の孝之進の声に、みんなビックリ・・
仁之助:「えっ! 孝之進さんバンドやれるの?」
正衛門:「ええよ、2月までやろか? 仁之助は・・・?」
仁之助:「やるやるぅ 最近退屈でしょうがなかったんだわ・・」
孝之進:「河姫はどうなんだろね?」
大番頭:「こないだ寄ってくれたんだけど、忙しそうだったよ」
孝之進:「そうだろなぁ ちょっと聞いてみようか・・」
●唐突に また動き始めた歯車は・・・
●昨年のようにうまく回るのだろうか
●ボーカルは? 河姫は? はたまた?
2月までの短期間で・・ 何ができるの?
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思い出話 52 【 4th.Stage女性ボーカルとキーボード! 】
河姫は仕事が忙しく、ボーカルを継続するのはやはり無理でした。
孝之進の作る歌は女性ボーカルが無くてはならず・・・
また 女性ボーカルを探すことになりました。キーボードが弾けて歌える女性を・・・
こんな時 鈴之助がいると行動が早いのですが・・
鈴之助も就活に必死で呼び出すことはできません。
孝之進がひとりでアクションを起こそうと思ったそんな時でした。
夕方にテララテ楽器へ顔を出すと、正衛門と仁之助が来ていました。
大番頭:「孝之進くん あの由美姫ではいかんの?」
大番頭:「前に店頭ライブ見た後で、『 “など” に入れたらなぁ』って言ってたよ」
孝之進:「あぁ 由美姫! まだ高校生じゃない? 歌えるの?」
由美姫は テララテ楽器へ遊びに来ている二人組みの一人でした。
仁之助:「由美姫なら気心知れてるからいいよ」
と言うことですぐにメンバーに決定しましたが、キーボードが弾けません。
でも グロッケンと言う楽器を演奏できました。
孝之進が困っていると・・・・
正衛門:「河姫の学校の後輩で誰かおらんの?」
正衛門が最高のアイデアを出してくれました。
仁之助:「あっ! あそこの大学に あの娘が言ってるはず・・」
仁之助:「孝之進さんも滋之丞さんも良く知ってる あの娘 あの娘・・」
孝之進:「あぁっ! あの娘か・・」
正衛門にはまったくわからない話でしたが、二人の共通の「あの娘」のおかげで・・・
1974年(昭和49年)10月のある日
塚の局:「初めまして キーボード担当の塚の局です」
●由美姫から1ヵ月後 塚の局がメンバーに入り・・・
●新しいバンドが結成されましたが・・ 滋之丞はいません。
● “など” には戻れないの?
○ 滋之丞 もどってきて〜〜
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思い出話 53 【 第三回 山水ポピュラージャンボリー! 】
○ “など” の名付け親は滋之丞だったのです。「思い出話15」参照
次のロックバンドの名前を “など” から「ミルクローション」に変えたのも
滋之丞の “など” に対する思いやりからでした。
“など” のあのサウンドは、 “など” だけのもの・・
あのサウンドを継承できるバンドが “など” を名のるべき・・ と言う思いでした。
そのおかげで 孝之進たちの新バンドは “など” のバンド名で再結成し・・
1974年(昭和49年)11月2日 名古屋市民会館中ホールで
○「山水ポピュラージャンボリー決勝」のステージに立っていました。
エッ! もうコンテストに出てるの? 凄いじゃない!
孝之進:「滋之丞 ドラム手伝ってくれてありがとうね」
滋之丞はまだ「ミルクローション」のメンバーでした・・
仁之助:「滋之丞さん いつ “など” に戻ってくるの?」
正衛門:「とりあえず 2月までの期限付きバンドだから難しいよね・・」
そうなんです。孝之進も仕事の状況がわからないので、それ以降の確約が出来ませんでした。
○ステージの上では、新曲『夏の忘れもの』が演奏されています
それでは4th.Stage “など” のメンバーをご紹介しましょう。
○ボーカル・キーボード:塚の局/ ボーカル:由美姫
○ギター・ボーカル:孝之進/ベース・ボーカル:仁之助
○ギター・ボーカル:正衛門/ドラムス・ボーカル:滋之丞
演奏も無事に終わり 審査結果を待つ間に孝之進は別のことを思っていました。
実はこのホール、1ヶ月前に TULIPがライブツアーを実施した場所だったのです。
同じステージに立てることが、孝之進にとっては凄い満足でした・・
仁之助:「孝之進さん 結果発表だよ!」
仁之助のその言葉で現実に戻った孝之進の耳に聞こえたのは・・
司会者の東海ラジオ 天野良春アナウンサーの声だった・・・
○ 山水賞は「夏の忘れもの」を歌いました “など” に決定しました
○ おめでとうございます。この模様はラジオでも放送されます
仁之助:「また ラジオだ! 今度は東海ラジオだ!」
正衛門:「やったぁ! 名古屋のラジオ局全制覇だ・・!」
塚の局:「ほんとうに? ラジオで放送するの 私の歌!」
●塚の局デビュー曲で即ラジオ出演です
●河姫もデビュー曲で即ラジオ出演でした
“など” ってやっぱり凄いバンドなんだね・・
○ 本当に 2月解散? 何かもったいないような・・・
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思い出話 54 【 そろ そろ かな・・ 】
『夏の忘れもの』 が東海ラジオで流れた1ヵ月後・・・
「やね裏3rd.コンサート」が 津島市福祉会館で行われ・・
滋之丞のミルクローションと “など” が競演しました。
もちろん 滋之丞は “など” のドラムも担当してくれます。
やね裏のバンドも増え、ロックンロールからハードロックまで多彩な演奏が楽しめます。
正衛門は仲間の演奏を見ながら・・
「そろそろ年貢の納め時かな・・」と思っていました。
「社会人になって 練習する暇があるのかわからないままバンドを続けて・・
中途半端な状態になってしまうのなら・・・
ここでけじめを付ける方がいいかも・・」
と孝之進は思っていました。
○ そして “など” は翌年(1975年)の2月で解散することを決めました。
誰も反対するものはいませんでした。
いつか この日が来ることを薄々感じていたからです。
正衛門:「孝之進 どこで解散コンサートやる?」
孝之進:「やっぱり 1st.コンサートやったとこ?」
滋之丞:「そうだよなぁ あそこが一番だよね・・ 決定!」
仁之助:「了解・・ あと一ヶ月で準備しないと・・」
あら!・・ 重い雰囲気だったけど、またみんのなモチベーションが上がった?
やっぱり “など” は何か目標を持たないと楽しくないね・・
○ 解散コンサートの日程は1975年 2月16日に決定しました
○ 場所は 津島市公民館3F大ホールです
仁之助:「さ〜て 忙しくなるぞ!」
● わかっていたとは言え、簡単に決まっちゃったね・・
● 歴代のボーカルも全員そろうのかなぁ
なんか ワクワクしてきた・・
○ 鈴之助も須宇君も来るんだよねぇ・・・
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思い出話 55 【 動き出した?? 再結成! 】
2019年11月・・・ ちょっと現在に戻って “など” を見てみると・・
再結成に向けての打ち合わせをしているはずが・・
温泉旅行を決めてしまった「思い出話42」でした。 ・・・が
その後 鈴之助が調整し、山奥にある温泉宿が決定しました。
そしてその翌日、再結成決定後 初の練習を行うことも決まったのです。
すっかり 温泉話で忘れてしまったのかと思っていたら
滋之丞も正衛門も仁之助もボケてないじゃない・・・ GOOD!
連絡をもらった孝之進も 久々にワクワクしています。
● 練習曲は3曲 さぁ どんな音が出るのだろう・・・
○ 温泉も楽しみだし、そっちも楽しみ!
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思い出話 56 【 温泉旅行は最高!! 】
2019年11月○日 “など” 御一行様は16:00集合で顔をそろえた・・
鈴之助が幹事を引き受けてくれ、全てお任せのメンバーたち・・
結成以来はじめての温泉旅行で宴会が始まる。
鈴之助の力で 宴会場は貸切、そして二次会のカラオケへ・・
更に 部屋へ戻っての三次会へと、楽しい時間は続き・・
お湯良し! 酒良し! 肴良し! まる投温泉での時間は・・・
楽しい思い出をいっぱい作って更けていきました。
● さぁ 翌日の練習はどうなるのだろう?
○ みんな 睡眠不足だし・・・
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思い出話 57【 “など” 解散コンサート 】
ぼちぼち 45年前の 1975年(昭和50年)に戻りましょう。
“など” のメンバーは22歳になっていました。
1972年(昭和47年)8月から走り続けた “など” は・・
1975年(昭和50年)2月に解散コンサートを開催しようとしていました。
メンバーそれぞれが、“など” と言うバンドで青春のひと時を燃やし・・
目標を達成し、またある時は挫折しながら過ごしてきた 二年半・・・
いろんな人と接し、様々なサポートしてもらいながらの 二年半・・・
○思い残すことはたくさんあるが、今日がその青春の区切りだと全員が思っていました。
“など” に関係したメンバー全員が、今日ここに集まってくれたのです。
鈴之助、須宇君、頼姫、河姫、由美姫、塚の局
仁之助:「孝之進さん 最後の日になったね?」
大番頭:「残念だなぁ でも楽しかったわ・・」
正衛門:「みんな近くに居るからまた会えるって、テララテ楽器で・・」
大番頭:「ほんとに遊びに来てえよ・・」
孝之進:「大丈夫 他に行くとこないから」
正衛門・滋之丞・孝之進・仁之助は最後のステージに向かって歩き始めた・・
滋之丞:「孝之進 本当に今日で最後やなんて思えんねぇ」
正衛門:「何言っとるの。 とりあえず 今日が・・ 最後!!」
そして 1975年(昭和50年) 2月16日
○「 “など” さよならコンサート」の幕が開いた。
2月・・・!! 外はまだつめたい風が吹いているのに、私たちの心の中にも
冷たい風が吹き込んできそうな出来事が今・・・ ここにおこりました。
私たちの青春の1ページであった “など” が 今日で解散するのです。
正衛門のあのフォーク演歌も・・・ 仁之助のハッピーなベースも・・・
滋之丞の踊るようなドラムス・・・ そして孝之進の甘いささやきも・・・
今はもう 今はもう・・・ 時の流れに消されてしまうだけ・・・
さよなら “など” さよなら仲間たち・・・
みんな いつまでも いつまでも 幸せに!!
●初めて「恋した日に」、二人で「白い風船」に乗って着いたあの「さよならの海」・・・
●消えて行った「春と貴方の匂い」を求め、見知らぬ土地で踊った幸せの「れんこ田音頭」・・・
●夢を探した「ひとり旅」は、遠い日の「夏の忘れもの」を見つけてくれた・・・
○今も輝いている! 青春の1ページ!!
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